地球の未来を支えるHPCシステムズのSGN(スマートグリッドネットワーク)

同時同量

同時同量 ~電力は蓄えにくい~

多様な形態をとるエネルギーの中でも、電力は最も扱いやすいエネルギーとして現代社会に受け入れられていますが、その最大の欠点は「蓄えにくい」という点です。そのため、電力はつくるとともに直ちに消費しなければなりません。需要家が消費している電力は、リアルタイムで生産されたものであり、その時々において需要と供給とが一致しています。仮に消費電力量が発電電力量を上回るようなことがあると、電圧が低くなったり、周波数が不安定になったりして、安定な電力供給に支障が出ます。また、消費電力量が発電電力量を著しく上回る場合には、送電網に設けられた保護機能が働き、停電が起きてしまいます。こうした電力供給品質のぶれや停電を防ぐために、電力会社では「同時同量」で発電を行っています。同時同量とは、発電量と電力消費量を常に一致させることをいいます。同時同量を維持するには、需要家が消費する電力量をあらかじめ予想し、発電量を制御する必要があります。一般的に、1日のうちで電力消費量が多くなるのは、朝の人々が活動を始める時間帯、そして夜の食事時です。また、夏には、気温がもっとも高くなる1時~3時がもっとも多くなります。
最大電力発生日における1日の電気の使われ方の推移

電源のベストミックス

電源は、発電のエネルギー源に従って区別されています。大きくは、水力発電、原子力発電、火力発電、揚水式水力発電に分かれます。これらの電源は、「24時間動かしておくのに適した電源」と「電力需要に応じて動かしたり止めたりするのに適した電源」とに分けることができます。一般的な水力発電と原子力発電は、24時間365日、動かしっぱなしにしておくのに適した電源です。したがって、1日の電力需要の変化の中で、ベースの部分を担うベース電源になります。石炭、石油、天然ガスによる火力発電は、需要に応じて動かしたり止めたりがしやすいため、ベース電源で足りない時間帯に動かします。これは電力需要の中間部分を担うもので、ミドル電源と呼ばれています。電力の需要は、1日の時間帯の中で、おおむね同じようなパターンで推移するので、電力会社の側で予測しやすく、また、季節によって変化するということも、電力会社の需要予測では織り込みます。需要があらかじめ読めれば、それに応じて電源を立ち上げたり、停止させたりします。このようなピークの時間帯に、ベース電源とミドル電源では足りない分を供給するのがピーク電源です。ピーク電源には、火力が使われることもあり、揚水式水力発電が使われることもあります。電力会社では、このようにして、その時々の電力需要に合わせて、ベース電源に加えてミドル電源やピーク電源を動かしたり止めたりしながら、同時同量を実現しています。これを電源のベストミックスと言います。今回の東日本大震災では、福島第一原子力発電所が大きな被害を受け、東京電力のベース電源の大半が失われた格好となりました。現在停止している東京電力管内の原子力発電所の発電容量は1239.6万kWだといいます。標準的な原子力発電1基がおよそ100万kWなので、これは約12基分の原子力発電が動いていないことになります。また、太平洋岸にある火力発電所も被害を受けています。ミドル電源ないしピーク電源に用いられるものであり、動かなくなった分は680万kW。原子力発電所7基分に相当します。現在の東京電力の総発電量が3950万kW(2011年4月10日時点)なので、どれだけ大きな電源が失われたかが分かります。同時同量を維持するためには、現在の限られた総発電容量でもってまかなえるだけの電力消費に落とす必要があります。そのために、東京電力はあるエリアを指定し、あらかじめ通知した上でそこだけ電力供給をカットする、計画停電を実施しています。また企業や家庭には、消費電力を削減するよう呼びかけています。
需要の変化に対応した電源の組み合わせ
電力会社は、刻一刻と変わる電力需要に応えるため、1日の中でもさまざまな発電方式を組み合わせている。上の図は、電力の需要に応じて、どのような電源が使われているかを示す様式図である。